「2018年10月頃、友人とのTwitter上のやりとりで芸人の板尾創路さんの話題になったんです。どんな話の文脈だったか忘れましたが『私は板尾好きだよー』と投稿しました。すると翌日、『好きと言われてうれしいです』というDM(ダイレクトメッセージ)が突然送られて来たんです。それが公式マークのついた板尾さんのアカウントからで本当に驚きました」
 そう告白するのは都内の広告関係会社に勤務する女性Aさん(28)だ。東北地方出身のAさんは身長150cmの小柄な美人。ベビーフェイスで元モーニング娘。の加護亜依に似ている。
「彼がTwitterで『監督やりました』とか『イベントでしゃべりました』とかつぶやくたびに、あの悪夢を思い出してしまって……。時間が経つほどに気持ち悪さや悔しさ、罪悪感が増していくんです。最近、不倫を報じられた芸能人が世間からの批判を浴びていますが、バレなければ何をしても許されるのでしょうか。2019年はずっとモヤモヤとした気持ちを抱えていましたが、1年経ってもやっぱり許せませんでした。それですべてをお話しすることにしました」(Aさん)

取材に答えてくれたAさん ©文藝春秋

女性問題をたびたび報じられるも懲りない板尾

 AさんにDMを送った板尾創路(56)は監督や俳優としても活動する吉本興業所属のベテランお笑い芸人だ。ほんこん(56)とコンビ「130R」を組み、1991年に「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ系)にレギュラー出演したことで全国区の人気を獲得した。そのシュールで独特なお笑いセンスから、“お笑い界の奇才”と呼ばれることもある。
「今ではお笑い界で独自の地位を築いている板尾さんですが、かつてはもっと得体の知れないイメージでした。1994年、板尾さんのファンだという中学3年生の少女(当時14)を自宅マンションに連れ込み、みだらな行為をして、大阪府青少年健全育成条例違反で逮捕されたことがその印象に拍車をかけました。このとき吉本興業からは無期限の謹慎処分を受け、社会問題となりました。
 1998年には8歳年下の一般女性と結婚し女児をもうけましたが、『FLASH』(2017年12月5日号)では自身が監督を務めていた映画『火花』の出演者でもあったグラビアアイドルの豊田瀬里奈(当時27)とのラブホ不倫が報じられた。その際、板尾は『家族には怒られて謝って、お許しをいただきました』と釈明しています」(スポーツ紙記者)
 女性問題でたびたび世間を騒がせてきた板尾だが、まったく懲りてはいないようだ。板尾は見ず知らずのAさんに積極的にメッセージを送り続けた。Aさんが続ける。
「最初のDMに対して、『本人ですか? 私もうれしいです』と返しました。まさか芸能人から直接メッセージが送られてくるなんて信じられませんでしたが、その後も『台風だから家の掃除をしています』(板尾)、『偉いですね』(Aさん)といった他愛のないやりとりを2カ月間で3、4回しました」
 そして12月初旬頃、板尾からAさんにDMで食事の誘いが届いた。

指定された場所は渋谷のカラオケ店だった

「『よかったら食事でもどうですか。今週か来週で空いてる日ありますか?』とDMでお誘いを受けました。こうやっていつも一般人をナンパしているのかなと複雑な気持ちにはなりましたが、芸能人とご飯を食べられる機会なんて今後ないだろうと思って、『行きます』と返信しました」(Aさん)
 Aさんの返信から数日後の12月13日、2人は渋谷で会うことになった。事前に板尾から「お店が決まったら教えます」と言われていたが、当日の夕方まで連絡がなかったという。
「今日はどうするんだろうと思っていたら、当日の夕方に『忘年会シーズンでお店が取れなくてカラオケになっちゃったんだけど』と渋谷のカラオケ店を指定されました。初めて会う男性といきなりカラオケはちょっと気持ち悪いなとは思いましたが、嫌だったら帰ればいいやとOKしました。19時に個室で待っていると言われたので指定された部屋に向かいました。本当に本人がいるのかなとすりガラスをのぞくと、黒いマスクをした男性が座っていました。でもあの大きな目が板尾さんそのもので、本当にいる……と改めて驚きました」(同前)

板尾はなぜかAさんの斜め上を見て会話

 Aさんが扉を開けると、デニム姿の板尾が入り口付近のソファーに座っていた。その部屋は3人掛けのソファーとテーブルがあるだけの、少人数用の狭い部屋だった。
「ソファーに座るとすぐ、『これ、プレゼント』とギフト用の包みを手渡されました。なかに入っていたのはピンクのハート型のファーのキーホルダー。以前、雑貨店で同じものを300円で売っていたのを見たことがあるので、そこで買ったのかなと思いました。
 部屋の灯りは明るいままだったので少し安心しましたが、板尾さんはあまりしゃべってくれなくて。沈黙に耐えられず、私のほうから『本当に(板尾さんは)実在するんですね』などと話しかけました。年末が近かったこともあり、M-1や芸人さんについて話していると、板尾さんが『何で俺のことを知ってくれたの?』と突然話し出しました。『ガキ使(お笑い番組「ガキの使いやあらへんで」日本テレビ系)で見ていました』と返すと、『ハハハ』とちょっとすかしたような顔で笑っていました」(同前)
 板尾はAさんの目を見るでもなく、なぜか彼女の斜め上を見て会話をしていたという。しばらく会話をしていると、オーダーした食べ物が部屋に届けられた。

何度もキスをされ、無言でワンピースの中に手を……

「板尾さんは『俺はあまり食べへんから』と言っていたので、私の食べたかった生春巻きと揚げ物のセット、板尾さん用の唐揚げが運ばれてきました。お酒も注文して、板尾さんはカシスウーロンを2杯くらい、私はレモンサワーを飲みました。ほろ酔いになって、その頃には緊張もだいぶほぐれていました。私が『こうやって一般の女性と会ったりするんですね?』と尋ねたら板尾さんは『そんなことないよ。たまたまだよ』と言いながら、時々チラッと私の顔を見ることもありました。板尾さんも少しお酒が回ったのか、『いくつなの?』『彼氏はいるの?』と聞いてきました」(Aさん)
 カラオケを1曲も歌わないまま、2時間が過ぎた。なごやかな雰囲気にAさんも当初の警戒が解けてきていた。しかし、そのとき板尾の様子が豹変したという。
「それまで距離をあけて座っていたのですが、板尾さんに『こっち来なよ。ここに誰か座れそうなくらい空いてるよ』と近くに座るように言われました。確かに不自然なくらい距離があったので、もう少し近くに座って板尾さんの方を向くと、突然キスをしてきたんです。突然のことで怖くて動けず、じっと我慢していると舌を入れられました。
 何度もキスをされて、そのうち板尾さんの左手が私の胸を触り始めました。無言でワンピースの中に手を入れて、ブラジャーに手を入れられ直に胸を揉まれました。このままでは服まで脱がされてしまうと思い、『ちょっと、すみません!』と振りほどきました。時間にして5分くらいでしたが、私には経験したことがないほどとても長い時間に感じました」(同前)

「かわいい。東北美人だね。友達になってくれる?」

 気まずい雰囲気になるかと思いきや、板尾は上機嫌でこう言った。
「板尾さんは何事もなかったかのように、『かわいい。東北美人だね。友達になってくれる?』と言葉をかけてきました。気持ち悪くて、とにかく早く帰りたかった。それで『そろそろ帰ります』と告げると、『ああ、そうか』とすんなり帰してくれてほっとしました。ただ、部屋を出るまで『誰にも言わないでね』と何度も念を押されました」(同前)
 部屋を出たのは22時を少し過ぎた頃だった。2人で出口に向かうエレベーターを待つ間、しばしの沈黙が流れた。
「エレベーターに入ると、すぐに腰に手を回され『友達になってや』と近くで何度も言われました。『友達だったら……』というようなことを言った気がします。エレベーターが開くと、板尾さんはすっと私から離れました。支払いは板尾さんがしてくれました」(同前)

「次に会える、薄暗い夜はありますか」

 カラオケ店を出て、Aさんはそのまま駅方面に歩いて帰ろうとすると、板尾が「面倒くさいし、タクシーで送るよ」とAさんを呼び止め、タクシーを停めた。
「板尾さんは人目を気にしていたので、運転手さんの前では何もしてこないだろうと、一緒に乗りました。板尾さんにどこに住んでいるのか聞くと『港区』とだけ答えました。その後も他愛のない仕事の話をしているとまた『本当に友達になってくれる?』と言ってきて、仕方なくLINEを交換しました。そのお礼だったのでしょうか、飴を1つくれました。30分ほどして自宅近くに到着したので、お礼を言って私だけタクシーを降りました」(Aさん)
 帰宅後、Aさんはその足で浴室に向かい「気持ち悪かったので」すぐにシャワーを浴びたという。その後、板尾から送られていたのは、Aさんが「ガチで怖かった」と言うメッセージだった。
「会ったこと自体はともかく、ボディタッチは拒否すればよかったと何度も後悔しました。ただ食事やタクシー代を出していただいたので、翌日にお礼LINEをしたんです。数回やりとりすると、『次に会える、薄暗い夜はありますか』というLINEがきたんです。その文言を見た瞬間、『ガチの怖い下心じゃん』と返信するのを止めました」(同前)
 しばらく板尾からのLINEを既読スル―していたAさんに業を煮やしたのか、数日後、板尾は「元気ですかー?」というTwitterのDMを送ってきたという。

板尾のTwitterを見るたびにカラオケボックスでの悪夢が……

「無視し続けるのも悪いかなという気がして返事をしたら、年明けには新年の挨拶や舞台の招待の連絡もありました。ちょうど友達が行きたいかと話していたので観に行こうかとも思いましたが、友達に事情を話すと、『絶対に薄暗い夜の続きをされるよ』と注意されたので、結局行きませんでした。それから連絡は取っていません」(同前)
 吉本に事実確認を求めると、文書で回答があった。
「本人に確認したところ、概ね事実を認めました。本人は軽率な行為であったと猛省しております」
 絶対に笑えない板尾のナンパ手口だった。
(「週刊文春デジタル」編集部/週刊文春デジタル)