新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」の製作発表記者会見に出席した(右から)尾上菊之助、中村七之助
 アニメ界の巨匠、宮崎駿監督(78)の名作漫画を舞台化する新作歌舞伎風の谷のナウシカ」の製作発表記者会見が30日、都内で開かれ、尾上菊之助(42)や中村七之助(36)らが出席した。

 宮崎作品やスタジオジブリの関連作品の歌舞伎舞台化は史上初。1984年にアニメ化された「風の谷のナウシカ」は、宮崎監督が情報誌「アニメージュ」に連載し、足かけ13年で完結した漫画で全7巻(59話)からなる。歌舞伎版は、映画版では描ききれなかった物語の全編を昼・夜2部に渡って「通し上演」する。松竹は、通し上演は「江戸時代以来となるのではないか」としている。

 戦争によって科学文明が崩壊した世界を舞台に、人類と自然が共生していく道を探す少女を描いた年代記。ヒロインのナウシカは菊之助が、対峙する軍司令官の皇女クシャナを七之助が演じる。

 スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー(71)は「原作が歌舞伎でどうなるのか期待の方が大きい。映画とは違って気が楽です」と笑顔。むしろ、舞台化の話を伝える際に「宮崎駿がどういう反応するのかが気になった」という。

 鈴木氏によると、「ナウシカは宮崎が自分の持っているものをすべてぶつけた作品。(ジブリには)ナウシカの一部を切り取って作品にしたものが多かった。(今回は)彼は嫌がると思った」と説明。「ハリウッドで実写版などをお断りしてきた」という経緯もあり、歌舞伎化の依頼を受けたときは「『もののけ姫』はどうですか?」と当初は提案したとも。

 ただ、宮崎監督は歌舞伎なら「やるよ。やろうよ」と快諾。2つ条件を出した。1つは作品のタイトルを変えないこと、もう一つは「記者会見など、いろいろとやらなきければいけないことにもオレは協力しないから」だったという。

 交渉など準備をしてきた菊之助は、「東京オリンピックに向けて何かつくれないかなというのが出発点」と、インバウンドを見据えて外国人にも人気の歌舞伎と宮崎作品の融合を考案。「5年前から準備してきて今、凄く武者震いしています。ラグビーではありませんが、one for all,all for oneでしっかりと一座で力を合わせいきたい」と力を込めた。

 上演時間については「朝は(午前)11時から始まって(終演は午後)4時前くらい。夜は常識ですと4時半から。終わりはちょっと見えない。常識的な時間に終わりたい」と苦笑い。

 七之助は「疲れないようにしますので時間は気にしないで。面白い作品なら何時間でも見られると思いますので。せっかくの『風の谷のナウシカ』ですから。12時過ぎてもいいや、きょうは腹くくって見ようぐらいの気持ちで来て頂けたら」と笑いを誘いながら長さを強調。原作について「うちの兄(中村勘九郎)も大ファンでナウシカが初恋の人なんです」と明かした。

 作品名のロゴは、鈴木氏が筆をとって和風に刷新した。演出は「NARUTO-ナルト-」などの新作歌舞伎を手掛けたG2氏が、脚本は「ゲド戦記」などの丹羽圭子氏らが担当。12月6~25日に新橋演舞場で上演。