リーチ、W杯初のベンチスタートも貫いた主将魂 アイルランドの精神状態崩した“行動”
◇ラグビーW杯1リーグA組 日本19―12アイルランド(2019年9月28日 エコパ)
悔しさをかみ殺し、フィールドで思いをぶつけた。主将でありながら先発を外れ、背番号20をつけたリーチがコールされたのは前半30分。大歓声に迎えられると、最初の一歩からエンジン全開で攻守に駆け回った。
3大会連続出場のW杯では、10試合目で初のベンチスタート。「(先発落ちは)関係ないです。このチームが勝つために、準備も変わらずに(やった)」という。だが週の初め、ジョセフHCとのマンツーマンの話し合いの中で「どストレートに」リザーブ待機を告げられた。開幕戦の個人データを示され、「自分のパフォーマンスのせい。がっかりした」と気持ちは沈んだ。
だが、その背中をチーム全員が見ている主将。腐った姿は見せられない。練習では先発組に対して鬼気迫る表情で相手役を務め、後半にインパクトを与えるために、自分の牙も研いだ。マフィの負傷で想定外の早い出番となったが、入った直後の前半34分には相手を仰向けに倒して攻撃の勢いを止め、次のフェーズのノックオンを誘った。ジョセフHCも「リーチを入れるとチームの自信が高まる。正念場で使おうと思っていたが、今思えば(早い投入で)良かった」と称えた。
3月の沖縄合宿で恥骨炎を発症。症状は一進一退を繰り返し、W杯辞退を覚悟した時期すらある。だが不在の間、まだ日本代表資格を取得していなかったラブスカフニや姫野、稲垣や流らがリーダーとして成長。主将が安心して任せられる選手が育ったことが、結果として2度目の番狂わせへとつながった。
「過去の試合を見ると、アイルランドは相手よりも先に帰る。そこで相手より早く帰ることで、プレッシャーをかけられる」。ハーフタイムには他の選手に走ってロッカーに帰るようにうながした。広い視野で、相手の精神状態も崩した。どんな立場でも、やはりリーチは希代のリーダーだった。
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