楽天・大久保博元監督(48)が、今季限りで辞任する意向を固めたことが28日、分かった。就任1年目ながら、最下位に沈んでいる成績不振の責任を取るもので、今後、球団との話し合いの席で辞意を伝えるとみられる。2013年に球団初の日本一になった楽天は、その翌年から2年続けて監督交代という異常事態を迎えることになった。
大久保監督は、2年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出が遠のいてきた8月中旬以降、辞意を固めたという。関係者が「チームの低迷を重く受け止めて、自ら責任を取ることにしたようだ」と認めた。近く球団と話し合い、辞任を申し入れる。
2013年の日本一から、わずか1年でリーグ最下位に転落した昨年10月、大久保監督は1年契約で楽天の第5代監督に就任。星野仙一前監督(68)=現シニアアドバイザー=の野球を継承しつつ「常勝軍団をつくる」と、目標を掲げた。紅白戦での8人野球など、アイデアに満ちた練習を導入し、守備と機動力を重視。松井稼の外野コンバート、松井裕のリリーフ転向など、次々と再建策を打ち出した。
しかし、開幕後は銀次(左すね痛)、枡田(右有鉤骨骨折)、嶋(左肋骨骨折)、藤田(右太もも裏肉離れ)、ミコライオ(椎間板ヘルニア)ら、主力に故障者が続出した。新外国人もミコライオが登板ゼロ、打者のサンチェスやウィーラーは、一時打率が2割を切るなど期待を裏切った。
投手陣は新守護神に2年目の松井裕を据え、先発は則本、塩見らを中心に、救援陣も福山、青山、クルーズらが安定。「投手中心の守り勝つ野球」の土台をつくり、交流戦は10勝8敗と勝ち越した。一方でチーム打率・242、67本塁打、364得点はいずれもリーグ最下位。深刻な得点力不足に陥った。
6月下旬から8連敗、7月下旬に6連敗、8月には5連敗と8連敗。大型連敗をくり返した。7月30日には田代富雄打撃コーチ(61)が辞任。三木谷浩史オーナー(50)がオーダー編成などで現場介入したことに対する反発が背景にあったことが判明した。大久保監督も、オーナーの意向と目指す野球との板挟みになり、一丸ムードを作り出せなかった。8月25日にはオリックスに敗れ、最下位に転落した。
大久保監督は混乱したチーム状況を受け止め、辞意を固めたとみられる。就任時に「あきらめない、投げないという姿勢を示したい」と決意表明した通り、残りの30試合は全うする意向だ。この日の西武戦に敗れ、自力でのCS進出の可能性は消えたものの、最後まで指揮を執ることを自分なりのけじめにするという。
日本一の翌年から2年連続での監督交代は異例で、大久保監督の辞任が正式に決まれば、球団は後任の人選を急ぐことになる。酒井勉2軍監督(52)の内部昇格や、地元の仙台市出身で日米通算381セーブを挙げた佐々木主浩氏(47)=現解説者、同じく仙台市出身で今季限りでの現役引退を表明した斎藤隆投手(45)、さらには外国人監督の招へいなど、幅広く可能性を探ることになりそうだ。
大久保 博元(おおくぼ・ひろもと)
1967(昭和42)年2月1日生まれ、48歳。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武入団。トレードで巨人に移籍した92年に15本塁打。95年に現役引退。通算成績は303試合に出場、打率・249、41本塁打、100打点。2008年に西武打撃コーチに就任し、日本一に貢献した。12年に楽天打撃コーチ、13年から同2軍監督、14年10月に楽天監督に就任。1メートル81、97キロ。右投げ右打ち。
今季の楽天
★3月28日 日本ハムとの開幕戦は黒星も2試合目で今季初勝利。松井裕がプロ初セーブ
★4月14日 西武に2-1で勝ち、5連勝で初の貯金1
★5月21日 本拠地での午後4時2分開始の日本ハム戦で延長十二回、5-9で敗戦。5時間37分の死闘となり、試合後に予定されていた花火大会が中止に
★6月17日 同13日の中日戦で左脇腹にファウルボールを受けた嶋の肋骨骨折が判明。前後して辛島、藤田、伊志嶺らが次々と故障。同26日にはコボスタ宮城で異例のおはらいを受けた
★7月4日 日本ハムに2-3で敗れ、3年ぶりの8連敗。松井裕が今季初黒星
★同28日 松井稼がソフトバンク戦で日本通算2000安打を達成
★同30日 田代打撃コーチの辞任が発表され、後任に2軍から草野コーチが昇格
★8月17日 45歳の斎藤が、今季限りでの現役引退を表明
★同25日 オリックスに0-1で敗れ、7連敗で最下位に転落。翌26日も負けて、今季2度目の8連敗
最初から怪しかった??
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