最近、週刊誌などが「不動産・マンション暴落」をテーマに特集を組むようになった。半年前にはほぼなかったことである。私のところにも、そのテーマに関するコメントを求めて、多くのメディアがやってきた。
果たしてマンションは大暴落するのか。私の考えを一言で表現すれば、バブルで価格が不自然に上がっている部分については「大暴落する」ということになる。
モノの値段は、基本的に需要と供給の関係で決まる。需要が供給よりも大きければ価格は上昇。これは当然の結果だ。
ところが、ここ1年ほどの都心と城南、湾岸エリア、京都の一部エリア価格上昇は「住む」という本来の需要ではない「買い」が押し上げたと見ていい。その中身は、相続税対策と外国人の「爆買い」。
こういった思惑による買いは、市場の潮目が変わると逃げるのも早い。何といっても、現状で自分が住んでいないのだから、売っても困ることはない。投下した資金が回収できないだけ。つまり、損をするだけ。だから、きっかけさえあれば大暴落はいつでも起こり得る。
一方、国債については実質的な買い手は日銀である。黒田日銀総裁の「異次元」金融緩和が始まってから、政府の発行する国債はワンクッションを経て多くを日銀が購入する財政ファイナンス状態である。これは、財政の基本から見れば禁じ手である。だから、円への信用が落ちて円安になっている。
しかし、国債を保有しているのは日銀と日本の金融機関がほとんど。彼らは思惑で都心のマンションを購入した富裕層や外国人のように、「思惑が外れたから売る」という行為に走るとは思えない。
その点、国債はマンションと違って手堅い需要が高値(低利)安定状態を支えている。しかし、財政ファイナンスという状態が続く限り円安傾向は続き、日本は国として徐々に貧しくなっていく。
その点、マンションはかなり分かりやすい。この先、資産価値が下がると分かっているのにダラダラと保有している人は少ない。一旦下落に転じたら、再び上向くのは相当に難しいだろう。
今回の局地バブルは、相続税法の改正、円安、金融緩和、建築費上昇という多面的な要素が複合して生じた。その大きな特徴は、実需がほとんど伴っていないことと、地域限定であること。いかにも崩れやすそうに思える。
京都市のメーンストリートである四条通りは、半年ほど前に歩道の幅を大きく広げた。しかし、そこを歩く人間が増えたわけではないので、面する商店の売り上げ増加にはつながっていない。5年後、東京はオリンピックに沸くだろうが、この街に住む人間が増えるわけではない。住宅への需要も膨らまない。
需要なき価格上昇はバブルである。そして、いつかは弾ける。それは今かもしれないし、数年先かもしれない。
人口減少・・・・
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