Googleほどの規模になると、ちょっとしたミスでも莫大な損害を計上してしまうようです。同社で研修に携わるインターン生のミスによって、本来は公開されないダミー広告が表示されてしまい、1,000万ドル(約11億円)の損失が発生したことが分かりました。

インターン生のミスに気付かず

12月3日の夜、ニュースサイトを運営するリシ・ジェティさんは目を疑いました。サイトの広告枠がただの黄色い画像で埋め尽くされていたのです。慌ててデータを確認すると、270ドルCPMという見たこともないような数値が表示されていました。CPMとは1,000回あたりの広告コストのことを意味します。つまりジェティさんのサイトは広告が1,000回表示されるごとに270ドル(約30,500円)を稼ぎ出した計算になります。

一体何が起きたのか――犯人はGoogleでした。

Financial Timesに関係者が語ったところによると、Googleで電子システムの使い方を研修している際、インターン生の1人が誤って相場の10倍以上の価格で、実際の広告枠に“買い”を入れてしまったのだそうです。一般的にパブリッシャーの広告枠は、さながら証券取引所のようにリアルタイムで入札や交換が行われる仕組みが採用されています。もちろん、手動でオーダーを捌き切ることはできないため、入札や交換を請け負う企業は処理を自動化しています。

1,000万円超を稼ぎ出した人物も

その結果起きたのは、Googleが気づくまでの45分間にわたって、アメリカとオースラリアのサイトやアプリに、黄色い300×250サイズのダミー広告がひたすら表示されるという悲劇でした。市場の通常価格よりも大幅に高い価格で提示されていたので、黄色いダミー広告のために多くの企業がこぞって広告枠を売ることとなりました。先述したジェティさんは、CNNやForbesといった巨大メディアでも黄色いダミー広告が表示されているのを確認したそうです。

トラフィックの多いサイトほど45分間に得られた収益も多く、ニュースサイトAdAgeの取材に対し、とあるパブリッシャーは匿名で「10万ドルを超えた(1,100万円)」と鼻高々に話しています。

パブリッシャーたちにとっては、一足早いGoogleからのクリスマスプレゼントとなったわけです。

Googleも事実関係を認める

Financial Timesの取材に対し、Googleはスポークスマンを通して事実関係を認め、ダミー広告を掲載したパブリッシャーに支払いを行う用意があることを明らかにしました。

正確な被害総額は明らかになっていないものの、業界関係者は1,000万ドル(約11億円)ほどではないか、と見積もっています。それだけの額とあっては、Googleの「二度とこのようなことが起きないよう、安全装置(safeguards)を導入するべく取り組んでいる」という言葉も真実味を帯びてきますね。


Source:Financial Times,AdAge