東京都知事選が告示され、次の「首都の顔」を選ぶ選挙戦が始まりました。
候補者には多彩な顔ぶれが揃い、巨大都市・東京のかじ取りを誰に委ねるのか、目が離せない状況になっています。
しかし、首都のトップとはいえ、都知事はどうしてこれほど大きな注目を集めるのでしょうか。
都知事は「知事のなかの知事」で、その絶大な権力は「首相や米大統領より上」といわれることもあります。
本当のところ、都知事はどれくらいの力を持っているのでしょうか。
国家並みの予算規模
都知事の権力の大きさは、まず「都政の巨大さ」をみるとよくわかります。
東京都の年間予算は約13兆円に上り、これは、ほかの府県のおおよそ10倍 、インドネシアなどの国家予算にも匹敵します。
東京都の年間予算は約13兆円に上り、これは、ほかの府県のおおよそ10倍 、インドネシアなどの国家予算にも匹敵します。
都は国の交付金や補助金に依存していないため、都知事はその巨額の予算の裁量権も非常に大きいとされています。
また、職員の数も16万人と飛び抜けて多く、東京都より職員がいるのは、すべての省庁・府県のうち、自衛隊のある防衛省だけです。
しかも、「都」というのは府県と市の2つの役割を合わせた都市制度なので、そのトップには知事と市長の2つの権限があります。
こうした行政組織としての巨大さが、都知事を特別な存在にし、権力を強くしている面があるのです。
国家並みの経済規模
もっとも、都知事の力の強さはそれだけが理由ではありません。
都政が巨大であるのに加え、東京都の場合、都市そのものにも大きな力があります。
東京都は国の税収の4割を集め、株式売上高の約9割、銀行貸出残高の4割、大企業の本社、外国企業の5割を有しています。
東京都は国の税収の4割を集め、株式売上高の約9割、銀行貸出残高の4割、大企業の本社、外国企業の5割を有しています。
大学生も4割が東京で勉強しています。
その経済規模は、都内総生産が92兆4000億円(2011年度)と、GDPベースで他の国家と比べても世界第14位に相当し、総生産額で韓国を上回ります。
金融市場も、東京はニューヨーク、ロンドンと並んで国際的に大きな影響力があります。
さらに、政治、行政、経済の中枢機能が集中しているうえ、テレビ局、新聞社、出版社、通信社、インターネット企業などの本社機能も集まっているため、全国に向けた情報発信力も非常に強い。
こうした点も都知事が注目を集める理由と考えられています。
国政にも大きな影響力
そのため、東京都の政策は国政にも大きな影響を及ぼします。
たとえば、67年から79年まで在任した美濃部亮吉都知事は、老人医療費無料化や公害対策で企業に規制をかけるなどの政策を打ち出し、その影響が全国の自治体に波及。
たとえば、67年から79年まで在任した美濃部亮吉都知事は、老人医療費無料化や公害対策で企業に規制をかけるなどの政策を打ち出し、その影響が全国の自治体に波及。
国も排ガス規制の強化に乗り出すなど、公害対策が本格化するきっかとなりました。
また、東京都が巨額の累積赤字に苦しむなかで79年に就任した鈴木俊一都知事は、幹部ポストの削減など、思い切った改革を実行して財政再建に取り組み、短期間で赤字を解消。
この鈴木都政も国に大きな影響を与えました。
都の改革をみて国も「土光臨調」を立ち上げ、行政組織の見直しによる歳出削減や、3公社の民営化などを推進し、財政再建に取り組むようになったのです。
さらに、99年に石原慎太郎都知事が当選してディーゼル車排ガス規制などの環境対策が始まると、国も省庁改編で環境省を設置、本格的な環境対策に乗り出すようになりました。
最近の例をみても、2020年の東京オリンピックは東京都の招致運動を国が後追いしたものでもありました。
最近の例をみても、2020年の東京オリンピックは東京都の招致運動を国が後追いしたものでもありました。
12年末に安倍政権が誕生すると、安倍首相は「東京五輪は日本経済の復興を大きく後押しする」と考え、アベノミクスの一環として東京オリンピックの招致に積極的に関わるようになったのです。
東京の政治は、国政を変え、その影響は全国の自治体に広がっていくわけです。
東京の政治は、国政を変え、その影響は全国の自治体に広がっていくわけです。
だからこそ、都知事選では、有権者もよく考えて判断する姿勢が求められます。
都知事の役割とはいったいなにか。
各候補者の訴えによく耳を傾ける必要があります。
良政を!!
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