4月22日、法務省で行なわれた「矯正支援官」の委嘱式に珍しい女性の姿があった。同省の矯正局長から名前を読み上げられると、「はい!」と大きな声で返事し、緊張の面持ちで委嘱状を受け取る。
大きな目に栗色の髪が印象的なその人は、「あゆ」の愛称で知られる歌姫、浜崎あゆみ(36)である。
「矯正支援官」とは、法務省が新設した制度。
「芸能人やスポーツ選手などが全国の矯正施設を訪れ、様々な人生経験や歌唱などを披露し、受刑者の更生や円滑な社会復帰を促すのが狙いです」(法務省矯正局)
浜崎の他、EXILEのATSUSHI(34)、MAX、夏川りみ(41)、コロッケ(55)ら、多彩な著名人が委嘱された。原則として矯正支援官はひとりずつ矯正施設を訪問する。つまり「あゆ」のソロコンサートが刑務所で開かれるというわけだ。
浜崎の楽曲はしっとりとしたバラードもあるが、若者に人気のアップテンポなものもある。整列して微動だにしない受刑者の前で、あゆが激しく歌う様を想像すると、結構シュールだ。
今回の“仕掛け人”で、2008年から矯正施設運営について提言する名誉職「特別矯正監」を務める杉良太郎(70)も驚きを隠せなかったようだ。
「浜崎さんは仕事的にミスマッチで引き受けないと思っていた。『やる!』と言われ、本当に嬉しかった」(杉)
2002年から続いたシングル初登場連続1位記録が2013年に途絶え、昨年末に15年連続出場した紅白歌合戦を“卒業”した浜崎。近年は乳がん撲滅キャンペーンのゲストモデルを務めるなど、社会貢献活動に力を入れている。
今回の決断もその一環のようだ。
「宿泊費や交通費は法務省から支給されるとはいえ、贅沢はできない。“自腹”を切らない限り、飛行機はエコノミー、ホテルも一般クラスになるが、浜崎は『(慰問を)自分でもやりたいと思っていた。せっかくの機会なのでぜひ頑張りたい』とのことだった」(音楽業界関係者)
矯正支援官の委嘱期間は2年間。一般ファンの目には触れない熱唱である。
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