画像は、本田翼のインスタグラムより
 モデルや女優として活躍する本田翼(26)のYouTubeチャンネル「ほんだのばいく」が今、大きな話題になっている。

 同チャンネルが開設されたのは9月3日のことで、現在2本(記事執筆時点の10月15日現在、以下、同日付での数字)の動画が投稿されており、1本目の動画は300万回再生を突破しているのだ。
 喋りながらゲームをプレイする、いわゆる“ゲーム実況”の動画で、その中に本田の姿が映ることはない。……にも関わらず、同時間帯での視聴者数が世界一位を記録し、登録者数は既に105万人超え。開設からわずか1か月程度で、本田は人気ナンバーワン芸能人YouTuberとなってしまったのだ。彼女のYouTuberとしての年収は、1億円に達するのではないかとも一部では囁かれている。

 本田に限らず、YouTuber業に参戦する芸能人は後を絶たないが、言ってみれば彼らはテレビというフィールドでの成功者だ。そんな成功者たちが、なぜYouTubeに進出したがるのだろうか。とあるYouTuber事業関係者に話を伺った。

◆高校生でも月に何十万円も稼いだり、100万円の仕事が舞い込むことも

 単刀直入に聞こう。ナゼ芸能人はYouTuberになりたがるのか。

「やっぱり“儲かるから”というのが大きな理由じゃないでしょうか。実際、業界全体もかなり勢いがあるので、めちゃくちゃ儲かりますよ。一般的にはそこまで認知度のないYouTuberであっても、普通のサラリーマンの月収くらい稼いでいるケースは多いですし、高校生で月に何十万円も稼いでいるYouTuberだってたくさんいます」

 高校生でも月に何十万円も稼げるなら、芸能人が参入したがるのも納得だ。具体的にYouTubeでの収益の相場はどれくらいなのだろう。

「基本的にYouTubeでの収益というのは、動画内に埋め込まれた広告が再生されることで発生する、いわゆる“アドセンス”によるものです。その単価は企業の入札によって決まるものですし、また、アドセンスを提供するGoogleの事情によっても変動してきます。そのため一律で決まっているわけではないですが、平均すると、1再生数につき大体0.1円くらいが相場ですね。ひと月に100万回動画が再生されたとしたら、そのYouTuberには10万円の収入が入ってくるわけです」

 100万回再生で10万円……。確かに一般人からすれば夢のある話だが、すでに成功をおさめている芸能人目線で考えると、そこまで大きな儲けではないような気が……。

「確かに、誰でも絶対に儲かる、というわけではありません。しかし、YouTuberとしての人気が一定のラインを越えてくると、加速度的に儲かるようになります。単純に動画再生数が伸びるというのもありますし、インフルエンサーとしての地位が確立してくると、特定の商品などを動画内で紹介することで企業から報酬をもらう、企業タイアップ案件が舞い込むようになります。高校生がくだらない動画を上げているだけのチャンネルなのに、企業が100万円を払ってタイアップ依頼することもよくありますよ」

◆莫大な儲けを叩き出す芸能人YouTuberは「金儲けをしようとしない」

 YouTubeに進出した芸能人は数多いが、本田翼のようにいきなりブレイクするケースは稀で、正直なところ失敗に終わっているケースのほうが圧倒的に多いように思える。成功するか失敗するか、その分かれ目とはなんだろう。

「当人が好きでやっている感じが伝わる動画を上げている人は、成功しやすい気がしますね。例えば本田さんの動画って、顔は全然出さないし、まったく芸能人感がないんです。ゲーム好きが高じた結果として動画を上げましたって感じが高く評価されているんですよね。それと彼女、動画に広告つけてないんです。つまりアドセンスの収益ゼロってことなんですけど、そこも好感度につながっています。ネットの世界って、儲けようとするとやっかみが飛んできますからね。ですから金儲けや売名みたいな目的が透けて見える人は、あまり成功しない印象です」

 金儲けのためにYouTuberになるというのに、それを目的とすると失敗してしまうとは何とも皮肉なものだ。ちなみに、他に注目度の高い芸能人YouTuberというと?

「お笑い芸人のヒロシ(46)はいいですね。彼はキャンプの動画を上げているんですけど、テロップも全然ないですし、なんなら本人の顔もあまり出てこない。本当にキャンプやっているだけですけど、随所に彼なりのこだわりが詰め込まれている。まさに好まれる感じの動画ですよ。

 他にもいろいろな方がやっていますけど、正直そこまで注目度の高い人はいないですね。本田さんがガチすぎて霞んでしまった部分もあるとはいえ、だいたいの芸能人YouTuberは、一旦ブームが去ってしまうと静かなものです」

 ある意味で、今1番注目度の高い芸能人YouTuberである、お笑いコンビ「キングコング」の梶原雄太(38)についても聞いておこう。梶原は10月1日、“カジサック”としてYouTuberデビューし、2019年末までにチャンネル登録者数100万人に達しなかった場合、芸人を引退すると発表し話題となった。10月15日現在での登録者数はおよそ14万人と好調なようにも見えるが、業界関係者の目にはどう映るのだろう。

「開設から15日で登録者数14万人というのは、一般人なら相当な高ペースです。しかし彼はもともと影響力のある芸能人なので、最初に登録者数がガッと伸びるのは当然のこと。それを踏まえて15日で14万人というのは、いくら1年以上の期間があるとはいえ、登録者数100万人はちょっと難しいんじゃないかなって気もします。

 ただ、おそらく彼にはどこかのYouTuber事務所、もしくはYouTuberが噛んでいる気がするので、最悪あの手この手で登録者数を伸ばしに来るんじゃないか、とは思います。まあ、そう簡単にどうにかなるものじゃないですがね」

 芸能人にとってYouTuber業界というのは、儲けようと思って参入する者には冷たく、儲ける気のあまりない者こそ儲けさせてくれる、禅問答のような業界らしい。テレビで成功を収めた彼らであっても、YouTuberとして成功を収めるのは簡単ではないようだ。<取材・文/A4studio>