2019年12月29日日曜日

木村拓哉が挑んだ“パワハラ”時代への逆行 非情な教官役は「リアルと120度くらい違う」

木村拓哉が挑んだ“パワハラ”時代への逆行 非情な教官役は「リアルと120度くらい違う」


9月末にセンセーショナルな音楽プロジェクトの発表をした木村拓哉。
情報解禁とともに各方面が盛り上がっていたが、商品に関する詳細がついに発表!!
多彩なアーティストたちの楽曲はもちろん今まで音楽活動を待ってくれていた人たちへの感謝を込めてリリースする今作はパッケージにも様々な趣向を凝らしている。

初回限定盤AはA4サイズの豪華ブックレット仕様で今回のコンセプトを元にした等身大の木村拓哉を表現した写真がふんだんに使用されている。
ハードカバー+本文58ページと非常に凝った作りとなっていて、水中カメラマンが撮影したサーフィンの写真などもふんだんに入る予定。
さらに初回限定盤BはMUSIC VIDEO2曲(サンセットベンチ・One and Only)とその2曲のメイキング映像を収めた豪華デジパック仕様、通常盤もビジュアル違いとなっており、3形態とも手に入れたい商品となっている。



自身初の白髪頭に挑戦した木村拓哉(C)フジテレビ
 フジテレビ開局60周年特別企画・スペシャルドラマ『教場』(来年1月4、5日 後9:00)で主演を務める俳優の木村拓哉。カリスマ教官・風間公親の風ぼうにあわせ、自身初の白髪頭にも挑戦する木村がこのほど、合同のインタビューに応えた。
原作は、推理作家・長岡弘樹氏による警察学校を舞台とした同名の小説。木村が演じる風間は元神奈川県警察捜査一課の刑事で、常に冷静で厳しく人を寄せ付けないところがあり「警察学校とは適性のない人間をふるい落とす場である」と考え、生徒が何かトラブルを抱えたときには、退校届を突きつける非情な教官だ。クラスメート30人が“教場”という名のサバイバルゲームを生き抜く姿と、生徒たちに非常識ともいえる謎の試練を与える風間の思いも描かれる。生徒役では、工藤阿須加、川口春奈、林遣都、西畑大吾、大島優子、三浦翔平らが名を連ねる。

■警察学校訪問で見えたリアルとの差 全員が“筋力”を持って挑んだ

 木村は、実際の警察学校を訪問し雰囲気をつかみ取るところから撮影に臨んだ。「いま現在は、いかにして入校してくれたみなさんを最後まで1人の脱落者も出さないように現場に送り出すからしいんです」とふるい落とす風間とリアルの違いを実感。「180度まではいかず、120度くらいはリアルと違うものになっている。何をやってもモラハラ・パワハラと言われる時代にこの作品を作る筋力というものを、スタッフ、監督、出演者全員が持っていると思います」と世間の目が厳しくなっている時代に同作を生み出した意義を語り「だからかもしれないですけど、リアルとの誤差がすごく楽しかったです」と続けた。

 さらに「ひとつの欠片しか見たり感じたりしていないとは思いますが」と前置きした上で「これから警察官になっていくんだという人たちが『誰々先生の学級を卒業する』というひとつのクラスそのものが人生に大きなものになっているんだろうなと感じましたね。小中高や大学とは違う学び舎なんじゃないかと思います」と振り返った。

 また、同作を通して日夜働く警察官へのイメージの変化も実感。「現場に立たれている方は、間違いなくこの警察学校にある時間を絶対的に過ごしている。卒業した人しか立てない場所なので、やはり特別な存在なんだなと」と話す。幼少期に剣道を習っていたという木村は師範代が警察官だったことを明かし「どこかリアルな接点があったんですけど、『警察官=ルール』みたいな感覚があったんです。でも、ここに至るまで人が人に教えているんですよね。そこはイメージの変化を感じるようになりました」と警察官が機械的な存在ではなく“人間”であることへの認識を深めた。

■熱量が徐々に上がった現場 きっかけは三浦翔平の一言

 「間違いなく豪華な熱量だった」と現場に携わった人たちの熱い思いを感じた木村。生徒役キャストとのエピソードを聞かれると「夜になりますよ?」と笑いながら答えるも、工藤、大島、三浦たちとの時間を一つひとつ丁寧に言葉にしてくれた。

 「湾岸スタジオの何のセットもない蛍光灯だけの空間に選ばれし30名が立っているんですよ。警察官役だから衣装に着替えて、(撮影当時)暑かったので帽子をうちわ代わりにしていた子もいて。最初はコスプレから始まって、自分も最初の段階では風間役をやるとして現場に行ったんです」と木村が言葉にした“熱量”は必ずしも始めから高かったわけではなかったそう。

 「(30人が集まった)3回目くらいに、三浦翔平が『主要メンバーでパーソナルな時間を作りませんか?』と言ったので集まったんです。各々感じていることがあったらしく、号令をかけて。彼らは(動きに対して)『どうですか?』と聞かれたので、『どうですか?』ではなくて、カメラの前に立つ状態が10だとしたら今はいくつだと思うかみんなに聞いたんです」。

 「『2もいってないと思います』と言って、(撮影前に)トレーニングをするような機会が残り3回くらいしかなかったので『きょうまでに5にしようと』話したんです。プロデューサーやスタッフにお願いして、自分もその場に立ち会うならしっかりとした状態の風間でいるべきだと思って、役に近い状態で現場に入るようにしました」と生徒役のキャストが“熱量”を上げるきっかけを作ってくれたことを明かす。

 「何も言わなくても帽子であおぐ人間もいなくなったし、待ち時間に背もたれを使う人もいなくなった。そこから撮影当日に向けて全員のギアが入ったというか、撮影が終わって『帰っていいよ』となっても、帰る人がいなかった。『付き合っていただけますか?』と言われるので号令をかけていかにできるようになるか、ひたすらと。それは大島優子だから、工藤阿須加だから、三浦翔平だからではなく、全員がやっていましたね」と生徒たちの成長を実感するとともに、カメラが回っていなくとも木村自身も教官としての立場をまっとうした。

■“絶対に逃げない” 風間公親は「すごく重いものを背負った人」

 自身が演じた風間については「人として魅力を感じるのは、絶対に逃げないこと。逃げられる立場ではないというのもあると思うんですが」と話す。「現実に対する、彼なりの納得できない部分がずっと心のどこかに引っかかっている。その引っかかりがとれないから現場を退いて、警察官になる前の種を強くすることをやっている人だと思うんです」と自身の役柄を分析。さらに「ストレスに満たされている人でもあるし、彼の幸せってなんだろうと撮影中も考えました。原作を読んだときも、現場でも幸せを探していました。彼は自分の幸せのために生きている人ではないと思います。すごく重いものを背負った人だと思います」と続けた。

 インタビューの最後には「教場の警察学校に生徒として入ることは考えられるか?」と聞かれた木村。「入らないと思います。入るならば、相当に腹をくくらないといけない」と答えた。その言葉からは、自身が演じた風間の生徒に対する接し方、実際に演じた生徒たちが過ごした厳しい世界を見届けてきたことに加え、警察学校を見学したからこそ、木村自身が感じたこの時間も職務をまっとうしている本物の警察官たちへの尊敬の念も込められた答えだった。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」配給会社が驚いた「異変の始まり」予告編動画、アラフィフ狙いと思ったら…







フレディの命日、日比谷の映画館で開かれたイベントで、クイーン愛を語るローリーさん=東京都千代田区有楽町1丁目
 イギリスのロックバンド「Queen」(クイーン)の軌跡を描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が、世代を超えてヒットしています。週末の興行収入は異例の右肩上がりで、東京の熱が全国に広がってきています。2回、3回と目的を変えて複数回見に行く人たちが続出しています。背景を探っていくと、クイーンファンの献身的な愛と配給会社のマーケティング戦略がありました。(朝日新聞記者・岩崎賢一)

フレディの命日

「ボヘミアン・ラプソディ」の興行収入は、1週目の土日より2週目の土日、2週目の土日より3週目の土日というように、右肩上がりで増えています。今年2月に公開された「グレイティスト・ショーマン」の53億円を超える勢いです。

 フレディ・マーキュリーの命日11月24日、各地の映画館でドン・ドン・パツとリズムを刻む足踏みと手拍子が響きました。

 東京のTOHOシネマズ日比谷の12スクリーンの夜の「応援上映」のチケットは、命日イベントもあり、前売り発売開始から数分で完売したほどです。

 映画館内に、フレディの大型写真や献花台などはありませんが、すでに複数回見ている人たちが多く詰めかけていました。この日、クイーンを何度も取り上げてきた雑誌「MUSIC LIFE」を発行していたシンコーミュージック・エンタテイメントで行われた献花に参加したファンたちの一部が、この「応援上映」に流れてきていたのかもしれません。

 上映前のイベントでは、ゲストで登場したミュージシャンのROLLYさんが、この映画や複数回見に行く人が出ていることについてこう語っていました。

 「音楽家のことを描いた映画としては、モーツァルトを描いた『アマデウス』のように未来永劫輝き続けるでしょう」
 「あくまでも映画は、クイーンに入る入り口であって、入ってみるとそこからものすごく広大な世界が広がっていると思っているんじゃないかな……」

 日本での配給会社「20世紀フォックス映画」マーケティング本部長の星野有香さんは、「2週目の週末の興行収入が、封切られた週末を上回ることは普通はありえません。3週目も2週目の週末を超えるでしょう」と話し、自信から確信へと深めていました。

リアルなフレディ知らない世代も動く

映画で描かれているクイーンは、1970年代から85年にあった20世紀最大のチャリティー音楽イベント「ライブ・エイド」までです。フレディは、91年に亡くなっています。

 これまでの取材や記事に寄せられた感想の中で印象に残ったのは、「ライブ・エイド」を衛星生中継で見た世代ではない人たちの受け止め方です。

20代の印象はタンクトップにちょびひげ

千葉県の大学生、松原杏衣さん(20)は、1回目は11月18日のレイトショーを両親と一緒に見に行きました。2回目は旅行先のアメリカで友人と、3回目は日本で大学の友だちを誘って見る予定だと言います。

 映画を誘ったのは、「何となく知っている」杏衣さんの方でした。

 そのきっかけは、別の映画を見に行った時に流れた「ボヘミアン・ラプソディ」の予告編の映像を見て、インターネットのストリーミングで聴く音楽では得られない「音楽の迫力」に圧倒されたからでした。

 杏衣さんに、率直な感想を聞くと、こう話してくれました。

 「最初は音楽だけ考えて行きましたけど、考えさせられる重い映画でした」

 ただ、そこで終わらないのが、この映画やクイーンの持つ力のようです。

 「映画を見た後、ネットでクイーン関連の記事検索をしまくりました。音楽は聴いたことがあっても、その人の人生を気にしてはいませんでした。クイーンやフレディのことを知って準備が出来たので、もう1回見に行きたいと思いました」

世代で違う物語の印象

物語への印象も、杏衣さんと両親では違いました。映画では、「ライブ・エイド」の直前、フレディは両親ら家族に、ジム・ハットンを「友人」と紹介したシーンです。その後、フレディは父にハグされ、ウェンブリー・スタジアムに向かいます。

 「私は、フレディがまだ両親に受け入れてもらえないと思って、関係性を尋ねられた時に『友人』と感じたのでとても切なかったです」

 一方、両親は、「お父さんと仲直りしてよかったでしょ」という印象だったそうです。

 フレディとメアリー・オースティンの関係も、恋人でなくなっても友情を続けたことに、杏衣さんは「すてきなこと」と感じたそうです。

 ただ、ネット上を検索すると、20歳前後の感想は少なく、周囲でも「見に行きたいと言っていますけど、まだ行っている人は少ないのかな……」とみています。

 東京などでは、週末を中心に「満席」が相次ぎ、予約が取れない状況が起きていることが影響しているのかもしれません。

「恥ずかしい」と感じた瞬間

東京都の会社員、山田香織さん(28)は、毎月5本程度の映画を見ています。ただし、クイーンについては、「キムタクのドラマで使われていたり、学校の授業で聴いたりしたぐらいで、詳しくは知りませんでした」といいます。

 この映画を見に行こうと決めたのは、予告編の迫力でしたが、実際に感じたのは、物語性でした。

 「フレディが、セクシャリティ、宗教、容姿といった負の部分を持ちつつ、力のある曲を書いていたのには衝撃でした。こんないい曲を作ってきたのに、これまで聴いてこなかったことを恥ずかしいと感じました」

 松原さんも、山田さんも20代で、熱狂的なクイーンファンではありません。この映画を見るきっかけも、映画の予告編と共通しています。

マイノリティーのつらさ、夫と重ね共感

千葉県で自営業を営む柿崎みどりさん(43)は、9月から10月、この映画の予告編やミュージックビデオをYouTube(ユーチューブ)で見て、ファンになったといいます。映画を見て、こんな感想を持ちました。

 「改めてフレディの凄さに圧倒されました。彼の破壊力のある歌い方と非常にコントロールされた動き、何を見ても憧れの対象でしかないです。彼の生い立ちにも興味を引かれました。個人的にはパキスタン人の夫がいる私には、なんとなくマイノリティーのつらさがわかるのです」

 柿崎さんの夫はパキスタン人で、日本の永住権を申請中です。この映画でも、ロンドンの空港で働く若き日のフレディが、同僚からパキスタンからの移民を指す「パキ」という侮蔑するような言葉で呼ばれ、そもそもフレディはパキスタン出身でもないことから、それを否定しているシーンがあります。

 異国で暮らす夫と重ね合わせながら、感想についてこう語ります。

 「フレディの人物像、本当は深い闇を抱えていたということが映し出されていたことがよかったです。最後は、人の心をつかんで超人になっていたし……」

エンターテイメントでないことに戸惑い

熱狂的なクイーンファンはどうでしょうか。

 「感動したというより、この映画は本当に難しい問題を抱えた、単にエンターテイメントの映画ではないということに戸惑いました」

 こう話すのは、兵庫県宝塚市の介護職員、栗田佐知子さん(42)です。勤務先の友人と10日に見に行きました。2人ともクイーンのファンです。

 「フレディが亡くなったことを伝える新聞記事で、エイズ(HIV)のことやフレディの存在を知ったことを思い出しました。少しでも生きていた彼に触れていた自分を思い出して、涙が止まりませんでした」と、自分の歩みと重ね合わせて深い感動を得ていました。

 なぜ「戸惑い」を感じるのか聞いてみました。

 「正直、家族とは見に行っていません。内容に少し躊躇し、単純にクイーンを愛する人でないとこの映画は変な映画に捉えられると思ったからです。十数年後に家族で観たい映画です」

 子どもはまだ保育園児。移民やLGBT、クイーンの音楽を理解できる年齢になったら、一緒に見て、彼らの生き様を教えてあげたいと言います。

「フレディも人間だった」

愛知県で飲食店の店長をしている稲垣文香さん(35)は、亡くなった母親が、ドライブでいつもクイーンの曲をかけていたことから、ファンになったと言います。映画は、すでに13日に2回、20日に1回の計3回見に行っています。

 「フレディとメアリーの関係性にとても心打たれました」

 恋人メアリーは、フレディがバイセクシュアルであることを知り、恋人としての付き合いをやめましたが、友だちとして付き合い、支え続けました。

 「あの偉大なるフレディが抱えていた、人間としての闇、弱い部分、愛されたいという気持ちなどをリアルに描かれていたので、グッときてしまいました。想像もしなかったフレディの部分が見えて、遠くの存在だったのが近くに感じることができました」

 「フレディもやっぱり人間なんだな」と。

「一夜明けても体が震え涙した」

東京都の梅本智文さん(57)は、ブライアン・メイさんと同じ天体物理学者。日本公開初日に行われた「爆音上映」で見た後、自宅で「ライブ・エイド」の映像を見て確認し、「映画は完璧に再現しているのに驚き」とSNSに書き込みました。

 「一夜明けてもなお感動で体が震え涙した作品は初めて」

 SNSでは、クイーンのファンであり、天文物理学者らしいエピソードを紹介しました。

 それは、クイーンのロゴです。

 2頭のライオンは、しし座のロジャー・テイラーさんとジョン・ディーコンさん、カニはかに座のブライアン・メイさん、そして妖精はおとめ座のフレディを表していると……。

 梅本さんとSNSを通じて話していると、八ケ岳山麓のような大きな夜空の下で、天国のフレディを仰ぎ見ながら、野外ライブのような上映会があったらいいなと互いに感じました。

1週目より2週目、2週目より3週目

「大作」と言われる映画は、通常、封切りされる週末のスクリーン数が一番多く、また客席数が多いスクリーンで上映されます。全国の総座席数でみると、2週目は6~7割に減るのが一般的で、日が経つにつれて徐々に座席数が少ないスクリーンに変わったり、上映館が減ったりしていきます。

 「ボヘミアン・ラプソディ」にとって、3週目の週末は「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」の封切りがあり、映画館の座席供給数が減ってしまったこともあり、東京では「朝、見に行こうと思ってネットで調べたら、ほぼ満席だった」というようなSNSの書き込みがでてきました。

 このような逆風の条件下でも、配給会社が26日に発表した週末の興行収入では、3週目の週末24日と25日の動員数が27万8910人、そして興行収入が3億9502万円となり、2週目の公開週末と比べて102%、オープニング週末の117%を記録しました。25日までの累計動員数が166万936人、累計興行収入が23億3610万円になっています。

 3週目が、2週目を超えるのは、「普通ではあり得ないことです。東京の盛り上がりが地方に伝わってきているため」(配給会社)と見ています。

 また、映画を1年に1回見るか、見ないか、というぐらいの人たちが、映画館に足を運んでいることも影響していると見ています。

 音響がいい大スクリーンの映画館が好まれる傾向にあり、さらに、観客が一緒に歌ったり、コールしたりできる「応援上映」をする映画館が全国109館に増え、様々な見方をするリピーターが増えているのも要因です。

ヒットの予測

この反響を予測できていたのでしょうか。

 YouTubeにアップされた予告編の映像が世界中話題になっていることを知り、配給会社を取材したのが6月下旬です。その時、同社マーケティング本部長の星野有香さんは、こう話していました。

 「映画の世界は今、公開半年前にYouTubeに予告編の動画をアップし、そこでどれぐらい再生回数が増えるかで、ある程度ヒットの予測ができます」

 今、改めて星野さんを取材すると、さらに通常の映画の常識を覆すことがあったといいます。

映画マーケティングの常識を覆す数字

日本向けのYouTubeのチャンネル「20thFOXjp」や日本語による映画の公式facebookページの数をベースにした解説です(数字は今回の取材時のもの)。

【異変の始まり】
 5月15日に、海外とも共通の1分30秒の特報動画がYouTubeで解禁され、これを見た私や主にクイーンファンのマスコミから取材の連絡が入るようになる。「20thFOXjp」にアップされた動画は、約66万回再生、コメント168件。

【尋常でない好反応】
 7月17日、2分23秒の最新予告編がYouTubeで世界同時解禁。「20thFOXjp」では、約370万回再生、コメント814件。この時、日本の公式facebookページのコメント欄が爆発。再生回数139万回、コメント数736件、シェア6881件、いいね2.8万件。クイーンファン、映画ファンともに「尋常でない好反応」で、この頃から劇場担当者、マスコミの一部が注目し始める。

【通常映画の宣伝戦略と違うと確信】
 7月の予告編を使って、7月中旬にコンセプト&ポテンシャル調査をしたところ、「クイーンの楽曲を知っていたり、クイーンが好きだったりするファンを狙っていくことがいいと確信」する。プロモーション前半を、クイーンファン向けの音楽押し、10月24日の完成試写会後のプロモーション後半は、物語(感動)押しと決める。

「シェア」「いいね」がファン周辺でない人にも伝播

星野さんに、その一端を説明してもらいました。

 7月17日に公開した予告動画をアップした後の公式facebookページの数字に象徴されると言います。「シェア」「いいね」ボタンを押してもらえれば、その人の友だちのタイムラインに表示されることになります。

 また、業界では、動画の再生回数は「広告宣伝費100万円かけて20万回」と言われており、裏を返せばお金をかければ再生回数が増え、かけなければそれほど増えないことが通説だと言います。

 「ボヘミアン・ラプソディ」の場合、友だちと「シェア」「いいね」で情報を共有する人がものすごく多かったのが特徴でした。つまり、通常は、広告宣伝費の力とお金をかけず自然に広がっていく力は、9対1とされていましたが、今回は5対5であることが分かったそうです。

 さらに、1年間で1本以上の映画を見る10代から60代の人に予告編を見てもらう別の調査では、映画を知っている「認知度」や映画館に見に行きたいという「意欲率」で、通常の洋画より高い傾向が出ました(通常の洋画は、公開週で「認知度」が30%程度、「意欲率」が2~3%程度のところ、「ボヘミアン・ラプソディ」は「認知度」が40%程度、「意欲率」が3.7%程度)。

 6月下旬に取材した際、星野さん自身「クイーンファンやロックファン以外に広まるだろうか」と不安を口にしていました。また、映画記事などで「伝記映画」を表示されることに戸惑っていました。

 しかし、様々なデータの分析の結果、7月末までには「クイーンや楽曲の認知、ファンを利用することがヒットの近道」と結論付け、通常ではコアファンの周辺を広げていく宣伝方法と違う戦略をとったそうです。

 完成試写会後のプロモーション戦略後半は、「音楽性が良いというアプローチから、物語性が良いと感じてもらえるような変換が肝でした」と振り返ります。

 実際、この完成試写会で初めて公開された映画は、私も「ミュージック・エンターテイメント」というよりは「メッセージ性の強い映画」と感じました。

 だからこそ、エンドロールが終わってもなかなか席を立たず、検索をして深く調べたり、「ライブ・エイド」をもう一度見てみようとしたりする人がいたのでしょう。

Facebookの力と本人を裏切らない演技

私が断続的に取材をしてきて感じたことは、この映画の魅力は、ドキュメンタリー映画でないことを知りつつも、見るとクイーンやフレディらメンバーの曲や人間性の深さが心にしみてくる点です。

 50代のクイーン世代が見て、次に学生の子どもを連れて行った、という人もいます。冒頭で紹介した松原さんも、「昔の話だけど、今の若い人が見た方がいい」という印象を持ったといいます。多様な見方、多様な解釈ができる映画でもあります。

 そして特筆すべきと感じたことは、Facebookです。Facebookは利用者層の年齢アップが言われてきましたが、星野さんの説明にもあったように、実名でこの映画やクイーン、フレディについてFacebookに投稿する人が目立った点です。「保証人」付きとも言える実名投稿と、映画とクイーンがFacebookを使う年齢層にマッチしていたからだと思います。もちろん、Instagramを含め、多様なSNSでつぶやかれていますが、フレディの命日に配信されたデジタル記事の中には、日本語でも2000を超えるシェアがされているものがありました。

 1つの映画を、多様な仕掛けで複数回見てもらう手法は、純粋な映画ファンからすれば、邪道かもしれません。ただ、「応援上映」といっても、前回の記事で書いたように、大音量でスピーカーから音楽が流れているだけに、大合唱よりは口ずさんでいるという雰囲気です。命日イベントがあった日比谷の「応援上映」でも、熱狂して歌ったり、「ウォー」と叫んだりしていたのは、主に「ライブ・エイド」のシーンでした。また、この映画を、音響のいい大画面で見たいと思うのは、技術が向上した現代だからこそであり、70年代であっても、テープに何度も重ねて録音したクイーンの楽曲へのこだわりを少しでも感じたいからともいえます。

 クイーンファンの人も、音楽ファンの人も、映画ファンの人も、どちらでもない人も、この映画を見てクイーンやフレディの人生に圧倒されるから、「もう1度見たい」と感じる人が出てきているのではないかと思います。

 生まれながらにフレディが抱えた、イギリス社会ではマイノリティーという宿命と、4人から生み出される音楽の創造性。映画「ボヘミアン・ラプソディ」の魅力、それは音楽だけではない、現代社会にも通じる深いメッセージ性が刻まれ、それをフレディ役のラミ・マレックさんやメアリー・オースティン役のルーシー・ボイントンさんらの、本人を裏切らない演技があったからだと思います。

 この映画を巡り、様々な評論や検証をする人がいるでしょう。

 ただ、クイーンやフレディがいなければ、こんな映画はできませんでした。ヒットの本当の理由は、ここにしかないと思います。

NMB48渡辺美優紀に
“お泊まり”報道!
お相手は、
現役医大生のイケメンモデル
AKBグループの“関西支社”、
NMB48のセンターを務める「みるきー」こと、
渡辺美優紀(20歳)が、
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人気モデルとお泊まりした現場を週刊文春が撮影。
3月13日発売号に掲載される。
ねた?
渡辺美優紀

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