’09年7月、羽田空港にて。当時の夫・高城剛氏とともに日蝕を観るため、奄美大島に向けて出発するところ
ドラッグ大流行の深層レポート 違法薬物売買の実態を明かす
’09年7月、羽田空港にて。当時の夫・高城剛氏とともに日蝕を観るため、奄美大島に向けて出発するところ

「’08年頃から4~5回、ロンドンのオールド・ストリート駅近くにあるクラブ『C』で、沢尻被告にドラッグを売りました。沢尻被告と私の共通の知人がロンドンにいたので、彼を通じて携帯電話の番号を交換し、クラブで落ち合うことになったんです」
 沢尻被告を逮捕した警視庁組織犯罪対策第5課は、違法薬物の入手ルートを解明するべく総力を挙げている。本誌には事件発生後、さまざまな情報提供があったが、なかには冒頭のように、「ロンドンで沢尻被告に違法薬物を販売していた」という注目すべき証言もあった。
「初めて会ったときの沢尻被告は、ツバの広い帽子で顔を隠し、コソコソした様子でした。クラブの中で私がドリンクを購入する列に並んでいたら、その列に割り込んできた女の子がいたんです。それが沢尻被告でした。
 私が沢尻被告に自己紹介すると、彼女は目立たないように大麻とMDMAを購入し、1時間ほどで帰っていきましたよ。MDMAは『セックスドラッグ』とも呼ばれ、セックスの際に服用すると一体感や愛情が高まると言われています。だから、当時結婚していた高城剛さんと一緒に使うのかな、と思いましたね」
 この証言者によれば、沢尻被告は’08年の段階ですでに、大量の違法薬物を日常的に使用していた可能性があるという。
「沢尻被告は1回約5万円の現金を支払い、4~5回で計85gほどの大量の大麻を買っていきました。通常、3.5gで1~2週間分と言われていますから、二人で使ったとしても数ヵ月間は持つ量です。
  大麻は乾燥した状態でジッパー付きポリ袋に入れ、臭いがしないようさらにラップに包んで販売していました。当時のロンドンはドラッグブームで、多くのギャングや不良がマフィアからドラッグを仕入れては転売していた。沢尻被告はそれを知っていたからこそ、わざわざロンドンでドラッグを買ったのでしょう」
 実際、沢尻被告は’08年にロンドンに語学留学をしていて、現地の生活情報を熟知していたと思われる。また、この情報提供者の証言は、実際に違法薬物の売買をしていた者しか知り得ない詳細なものであった。
 現在、沢尻被告のように海外の取り締まりが緩い地域で違法薬物を入手する手口が横行しているという。元厚生労働省麻薬取締官の高濱良次氏はこう語る。
「イギリスでも嗜好用大麻は違法ですが、日本より手に入れやすく、そして摘発されにくい。なぜ手に入れやすいかと言うと、ユーロ圏内は自由に移動できるため、大麻が解禁されているオランダからいくらでも持ち込むことができるから。そのうえ、国外での違法薬物使用などの軽微な事件は、国外犯として処罰することが難しいのが実情です」
 違法ドラッグの蔓延は、若者の未来を奪い、国を滅ぼすほどの悪影響がある。徹底的な根絶を目指すべきなのだ。
沢尻被告が逮捕前日に訪れていた渋谷区のクラブ。親友の片瀬那奈もこのクラブの常連だったという

PHOTO:結束武郎 鬼怒川 毅