2020年5月15日金曜日

若者がひそかにあきれる「おじさん・おばさん」がやらかしがちなZoomの2大マナー違反

若者がひそかにあきれる「おじさん・おばさん」がやらかしがちなZoomの2大マナー違反


ネット慣れしている今の若者たちは、突然のリモートワークに戸惑う昭和世代をどう見ているのか──。この4月に入社したばかりの新社会人4人が、オンライン座談会で「今、上司に言いたいこと」を語り合いました。司会と解説は原田曜平さんです。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/RichLegg)
【座談会参加者】
Aさん/IT系企業でオンライン研修中。女性
Bさん/人材サービス企業でオンライン研修中。女性
Cくん/動画配信サービス企業で毎日出勤中。男性
Dくん/人材サービス企業で在宅勤務中。男性

Zoom研修やZoom飲みが当たり前に

【原田】今日の座談会は、オンライン会議サービス「Zoom(ズーム)」を使って開催しているわけだけど、皆は仕事でも使っているのかな?
【Aさん】Zoomで座学やグループワーク中心の研修を受けています。最初は研修は1カ月で終わる予定だったんですが、会社全体のリモートワーク体制が5月末まで延びて、研修も延長になりました。
【Bさん】私もZoom研修の最中です。内定式以降、会社の人とリアルでは会っていませんが、不安やさびしさはありません。40~50人が参加する「Zoom全社飲み」があったり、同期と「Zoom女子会」をしたりしているので、出社しなくても仲は深まっている実感があります。
【Cくん】僕は普通に出勤して働いています。でも会社帰りに飲みに行ったりはできないので、同期とも先輩ともあまり仲を深められていません。少人数でのZoom飲みはしていますが、もっと他の人とも飲みたいですね。
【Dくん】僕は在宅勤務でテレアポの仕事をしています。Zoomも使ってはいますが、テレアポ中は接続を切っていることが多いかな。ただ、リアルで他の人の働き方が見られないのはつらい。本当は同期のイケている人や、ロールモデルになりそうな先輩の働き方を参考にしたいです。

■イマドキ女子のすごいZoomテク

【原田】仲を深めるのにZoom飲みを活用している人も多いみたいだね。Bさんの全社飲みは、それだけ大勢が参加していて盛り上がるの? うちの会社でも30人ぐらいでZoom交流会を開いたけど、まったく盛り上がらなかったよ。
【Bさん】結構盛り上がりましたよ。新入社員から社長への質問タイムもあって、それぞれがぶっちゃけた質問をしていて楽しかったです。
【Aさん】うちの会社でも100人以上でのZoom飲みがありますが、私は最初だけ参加したら後は適当に抜けちゃう(笑)。大勢が参加しているから誰か1人抜けてもバレないんですよ。リアルの飲み会だと席が近い人と少人数で盛り上がったりできるのに、Zoomではそれができないからつまらなくて。
【原田】大勢なら、途中でドロンするのも楽なんだね。じゃあ逆に、Zoomだからこそ気を使う点はあるかな? 自分の見え方とか背景とか。
【Dくん】仕事中は上半身だけスーツを着ています。その他は、顔の見え方も髪型も全然気にしていないかな。背景は、上司に「皆で合わせたら」って促されたので、会社が作った画像を使っています。
【Aさん】私はZoomバージョンのメイクをしています。普段のメイクだと顔が薄く見えちゃうので、いつもより濃いめにして輪郭をハッキリさせていますね。Zoom用に、デスク周りにつける照明も買いました。
【原田】皆、Zoomに接続している間はサボったりせずにずっとシャキッとしているの? 手元が映らないから、僕はたまに打ち合わせしながら携帯を見たりゲームしたりしてるんだけど。
【Bさん】皆、ちゃんとやっていると思いますよ。研修だと急に話を振られたりするから、あまり油断できないし。
【Aさん】サボる人がいるとは聞きますね。バレないようにするテクとして、ブルーライトカットメガネをかけている時は携帯いじるのはやめたほうがいいらしいです。手元がメガネに映っちゃうんですよね。

■30代上司にはジェネレーションギャップを感じない

【原田】上司としては、皆が職場にいればノルマを与えてサボらせないという手もあるけど、リモートワークだとそれもやりづらいだろうね。皆は上司との関係はどうなのかな。ジェネレーションギャップや不満を感じることはある?
【Cくん】上司は皆30代前半なので、ギャップを感じることはないです。近づきがたい人も優しい人もいるけど、昭和体質ではない企業を選んだおかげで謎のルールもなくて。上司の言うことを理不尽だと思ったこともないです。
【Dくん】うちも皆若くて、上司に中年の人がいないんですよ。業務はきついですが、その分すごく優しくケアしてくれる。相談にもよく乗ってもらっているので、業務に不満はあっても上司にはまったくないです。

■おじさん、おばさんがやりがちなNG行動とは

【Aさん】私はZoomの使い方でちょっと不満があります。人事部の研修担当者が40代半ばぐらいなんですけど、口調がきついし、Zoomのアングルが低いのか常に顔を下から映している感じなんですよ。こっちからすると見下されている気がします。それに照明も暗くて、表情がよく見えないから「怒ってるのかな」って思っちゃう。同期の間では「軍曹」って呼ばれてます(笑)。
【原田】中高年層にはZoomがよくわかっていない人も多いから、悪気はなくてもそう見えがちだよね。今の若者は動画をよく見ていてアングルの重要性も知っているけど、僕たちの世代はあまり知らない。おじさんおばさんのZoomマナーで、他に気になることはある?
【Aさん】Zoomって、若者の間では「自分がしゃべっていない時はミュート」がマナーなんですよ。でもおじさんは全然気にしていないみたいで、コーヒーをすする音とかしっかり聞こえてきちゃう。正直、嫌です。
【Bさん】私は画面共有の使い方を理解してほしいですね。資料を映し出す時は全画面で共有してくれないと、文字が小さくて読めないんです。「こうすればいいですよ」って言ってあげたいけど、新入社員から言い出すのは失礼かなって遠慮しちゃう。

■なぜ、使いこなせないのか不思議

【原田】ミュートの件は、僕もZoom中に豚汁をすすっちゃって同じことを言われたな。中高年は、まずは「ミュート」と「全画面共有」を覚えておいたほうがよさそうだね。でも、皆はどうしてそんなにZoom慣れしているの? 学生の頃から使っていたのかな。
【Bさん】使い始めたのは社会人になってからです。使用歴が1カ月ぐらいの私でもわかることだから、社会人歴が長い人はもっと慣れていていいと思うんですけど……。不思議だし、もうちょっとがんばってほしいです。
【Aさん】私も社会人になってからです。使いやすいツールだと思うんですけど、Zoom慣れしているおじさんって意外と少ないみたいですね。逆に、ミュートや画面共有を知っていると「この人わかってるな」って信頼感が湧きます。

■若者たちが求めるアフターコロナの働き方

【原田】今の若者はネットに慣れているから、ベースの感覚が違うんだろうね。でも中高年には、リモートワークにさびしさや苦手意識を感じる人も多いんだ。昭和的な働き方が依然として根強いのもそのせいだと思うんだけど、コロナの影響で今後は変えていかざるを得ないだろう。皆はどう変わってほしいかな。こんな会社、こんな日本社会になってほしいという希望があったら教えて。
【Cくん】リモートと出社が共存する社会になったらいいなと思います。リアルで会う必要がない仕事はネット上でやり取りできるようにして、働き方の選択肢がもっと広がるといいですね。今、僕は毎日出社していますが、正直言って感染への不安もあるし、リモートワークで済む仕事もあると思っています。
【Dくん】出社しなくてもできることって結構あると思うんですよ。うちの社はWeb商談を始めているんですが、顧客の中には「商談はリアルで会わないとできない」と思い込んでいる人も少なくありませんでした。通勤は満員電車のストレスを生むし、対面商談には移動時間がかかります。ネットを使えばもっと効率が上がるはずなので、古い価値観は変えていってほしい。僕自身も、Web商談やWeb面接を提案していくつもりです。
【Bさん】日本は今後IT産業が伸びていく国なのに、他国に比べてネット環境の整備が遅れている気がします。どんな場所でも気軽にネットが使える、そんな環境が整った社会になってほしいと思います。

■「在宅か出勤か」二者択一は古い

【Aさん】働き方も「ネットでできることはネットで、対面が便利な場合は対面で」っていうスタンスになればいいですね。Zoomには難点もあって、私は対面よりコミュニケーションが難しいと実感しています。だから「在宅か出勤か」ではなく、案件によってスタンスを変えられる柔軟な社会になってほしいです。
【原田】今後は、在宅と出勤を組み合わせて働くのが当たり前になっていくのかもしれないね。コロナをきっかけにリモートワークを推進し始めた企業も多いし、働き方が柔軟になっていく可能性は大いにあると思うよ。
日本では以前から働き方改革が進められてきましたが、それは業務量はそのままに労働時間だけを削減しようとするものでした。しかし、Zoomなどの活用が浸透していけば、拘束時間のうち多くを占めてきた通勤や移動は不要になります。この効率性に、今、昭和世代を含めた多くの人が気づき始めているのではないでしょうか。今回の若者たちの意見は、アフターコロナの時代にどう働くかというテーマを考える上でも、大きなヒントになるように思います。
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原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。
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(マーケティングアナリスト 原田 曜平 構成=辻村洋子 写真=iStock.com)


コロナ禍でも「お客様は来ました」、休業中のソープ嬢が考える「性風俗に求められる役割」






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「休業した店を誇りに思います」。緊急事態宣言の対象となった7都府県に該当する千葉県のソープランドでは、4月14日の休業要請よりも早くから営業をストップしていた。苦境にありながら、風俗嬢はなぜそう考えるのかーー。
10年以上前に仕事で知り合ったSさんと再び連絡を取り出したのは昨年末だった。新型コロナウイルスをめぐる風俗業界の動向が気になっていたところ、Sさんが4月に入って仕事を休んだことを知った。
「風俗嬢のほとんどは首が回らなくて取材を受ける余裕もないと思う。たまたま運が良くて、私は自分で休むことを選べました。時間もある。業界のために取材を受けます」
新型コロナウイルスに翻弄されている業界は多いが、その象徴とも言えるのが風俗業界だ。その中でどっぷり生きてきた彼女がこの数カ月見てきたものを聞いた。 (編集部・塚田賢慎)
●風俗で20年生き抜いてきた
彼女が働く系列グループ店は緊急事態宣言が発出された翌日の4月8日から一斉営業自粛を決めた。期間は4月末まで。同エリアの特殊浴場組合からもその後、加盟店に対して4月19日までの全店休業要請が出されたという(4月9日時点)。
その後、千葉県からは14日から5月6日までの期間、多くの人が集まる施設に対して休業要請が出された。対象となる施設にはソープランドなどの「遊興施設」も含まれている。
Sさんは大学在学中の18歳から風俗の仕事を始めた。21歳で切り替えてからはソープ嬢ひと筋。バイト経験なし。「面接さえ受ければ、その日からプロを名乗れる仕事ですよ」と謙遜するが、風俗業だけで20年間生活してきたプロだ。
3月に入ってからは「緊急事態宣言が予告されたら休む」とあらかじめ勤務先に伝えていた。宣言が出る2日前、彼女は自ら店を休むことを決めた。
それまでは週に3日出勤。無理をしない。独身で子どもは持たない。そう決めて、人生設計を組み立ててきた。
たまたま、生活を質素に変えようと、昨年末から家賃を下げ、知人とのルームシェアを始めていたところだ。「お金があるわけじゃなくて、家賃、生活費、個人年金を入れても月に10万円で済む生活に抑えています」
「ゲームして、オンラインで英会話の勉強。友達とZoom飲みもやります。出勤しない日とそんなに変わりません」
「風俗嬢は個人事業主です。自分で休みを選べるなんて私はラッキー。運がよかった。ほとんどの風俗嬢はそれができません。店が休業したら、別の店で働くか、他の道を選ばなければいけません」
●風俗業界は崖っぷち
新型コロナを原因とする子どもの休校助成金対象から風俗産業が外される(後に支給対象に変更)など、最近は何かと注目されることが多い。風俗という仕事をテーマにした報道が各メディアでこれだけされたこともなかったのではないか。
Sさんは冷静で落ち着いているが、業界はピリピリしている。同じく休業を決めた都内のソープランドに決定までの経緯を聞こうと電話したところ、「取材のお願いをさせていただけないか」という言葉を遮られ、怒鳴られることもあった。
都内の別の風俗店経営者も「悩んでいる。でも明るくしておかないと」と力ないLINEを送ってきた。店を閉めるという選択は死活問題だ。飲食でも風俗でもどんな業態でも変わらない。怒鳴りたくなる気持ちも理解できる。
●客足、3月半ばに回復していた
Sさんの店でも2月に入ってから客足は落ち込んだ。「年末年始に遊んだ人の財布が締まるので、風俗業界の2~3月は冷え込むものなんですけど、例年の2月にくらべてお客様は半分になりました。私は月40本(客数)だったのが20本」
真っ先に消えた客は家庭のある男性だった。「お子さんのいる既婚者のかたは特に来なくなりました。3月1日から10日まではさらに減って、初めてお茶を引きそう(出勤したのに1人も客が取れないこと)になりました」
店内にはアルコール消毒が置かれた。店からスタッフと客にマスクが配られ、出勤時も検温をしていた。ただ、ソープの個室内ですることはそれまでと変わらない。
「歯磨きもするし、すぐお風呂に入って体を洗う。換気扇も回っていて、湿度も50~60%に保たれている。そういう環境です」
ひとつ変わったのは、「こんなご時世ですけど、キスします?」と事前に確認し始めたことだ。尻込みする客はいない。「濃厚接触しに来るお店ですけど、それでもみんなが全員『します』と答えたのは驚きました」
●「写メ日記」に「来てください」とは書けなかった
意外なことに、3月半ばからは数字が回復した。1日1~2人の接客数が4~5人に増えた。「自粛にもダレてきた時期です。元の指名客も帰ってきてくれて、初めて指名をしてくれるお客様も出てきました。お店の女の子の部屋は平日も土日も埋まっていましたね」
4月に入っても、外出自粛の声もどこふく風で客足は増え続けた。「まだ来るの?と私のほうが心配するくらいでした」
Sさんは「写メ日記」をほぼ毎日書いて発信している。風俗嬢の営業ツールのひとつだ。しかし、「営業」と言うものの、コロナ禍にあっては「来てください」とは書かなかった。
「言えませんよそんなこと。私が責任を負えるものではありませんから。『家に引きこもってゲームしましょう』と書いたくらいです」
それでも客は足を運ぶ。ソープに来るメインの客層は高齢者だ。「おじいちゃんとも呼べません。私たちを一番支えてくれる65歳以上の紳士は元気ですよ」
ちなみに、外出自粛では「夜の繁華街」「夜の街」を名指しされることもあるが、Sさんが働くソープ街のピークタイムは夜ではなく日中だ。午前中に開店し、閉店は深夜0時だが、人気嬢は早々と午後4時には仕事を上がる。
「夜のお店」という呼ばれ方も嘘ではないが、違和感もある。「結婚して、お子さんのいるお姉さんもいます。ここ10年、夜はお客様が来なくなって、早番に人気の子の出勤が集中している傾向があります」
●営業自粛した店を誇りに思う
政府が緊急事態宣言を出す予定だーー。そんな報道が出た日、Sさんは出勤後に「明日から店に出ません」と告げた。「私が感染したら、お店やお客様に大変な迷惑がかかる。お店の名前が出てしまうのは本当にイヤなんです」
結局のところ、Sさんの後を追うようにして店も自主休業を決めた。他の多くの店にも同じ動きがみられる。性風俗店が自主的に長期休業するのは珍しいという。
「私が経験する限り、事前に休むことを店側が発表していたのは、2019年9月の大型台風のとき。地震でお店が壊れたという理由以外で、店の長期休業を経験するのは初めてです。お店の人は『戦後初めてじゃないか』と言っていました」
「女の子は完全歩合なので、出勤しなくても人件費は発生しません。でも、多くの店舗型の店は賃料やスタッフの固定給を払い続けなければいけないので、本当はお客さんが来なくても店を動かす必要があります」
「ここで休めた店は『安全なお店』として評判は上がると思います。私は休業を決めた店の決断を誇らしく思っています。風俗店はいつだって閉まらないと思っている人たちにも、本当に緊急事態だと伝えられたのではないでしょうか」
その後、4月14日に千葉県から5月6日までの正式な休業要請が出された。
●働く場所を失った風俗嬢の行く末
「『どうしよう』『家賃が払えない』と嘆いているお姉さんはたくさんいます。私たちは歩合制だから、1人接客していくらなので、働く場所がなければ収入はゼロになります。貯蓄していたり、家族と同居したり、昼職と掛け持ちの子でもなければつらいですよ。
休業していない店や、デリヘルに移る子もいます。店ではお客さんが減ったころから、店内でパパを探す人が増えています。これは『裏っ引き』と言って、店を通さない個人間売春なので、バレたら首になります。
働く場所を失った子は、まだ営業している他の店舗や、デリヘルに腰掛けで移ると思います。あとは昼職。コンビニやスーパーのバイトの求人はまだあるでしょう。
中にはチャットレディーを始める子もいます。スマホさえあれば始められるので、こうやって(取材はZoomのオンラインで行った)やりとりできますよね。すでにチャトレをやっている子の話では、稼ぐにはコツが必要だそうです。
今から始めてもご飯代くらいはもらえるのではないでしょうか。ただ、インターネットを使うということは、自分の動画や画像がほぼほぼ一生残ることを覚悟する必要があります。私はやりません」
●業界への冷たい目線
風俗産業がコロナ関連の助成金対象となりにくい問題についてどう考えているのか。返ってきたのは意外な答えだった。
「この世界で働く以上、補償なんて受けられないと知ったうえで業界入りしました。風俗が助成金対象外でも仕方ありません。でも、私みたいに『仕方ない』と言えるのはほんの一部です。
風俗嬢は1日出勤してお客様がつけば、必ずその日にはお金をもらえます。当面はなんとなく生きていけます。ただ、そのお金をホストや買い物やスマホゲームの課金で溶かしてしまう3年後のビジョンがない子もいます。
こういう事態になってみても、苦しければ支払い猶予ができることも知らない。進んで情報弱者になっているんじゃなくて、生活に疲れていて視野が狭いだけなんですよ。
私もそうですが、最低限の労力で最大限楽して生活したい女性が少なくない業界です。障害者手帳を持っている子も普通にいます。現金支給や、補助金など仕組みがあっても、申請が煩雑であれば、興味を示すことができないでしょう」
ここまで息つく間もなく一気にしゃべり終えると、少し落ち着いてSさんは続けた。
「私たちは自分の仕事を役所に伝えられません。誰にもバレたくないからです。職業の枠を取っ払って、国民一律に補償がもらえるように助けてあげてほしいです。
今は風俗嬢をサポートしてくれる『風テラス』もあって、弁護士やソーシャルワーカーが助けてくれると聞いてます。なんとかそういう助けにたどりついてほしいと思います」
質素な生活にシフトしていなければ、彼女だって「風俗嬢が助成金対象外でも仕方ない」とは言えていなかったもしれない。取材中に何度も「ラッキーだった」「運が良かっただけ」と繰り返していた。
●「税金を納めていないから」という批判に対する考え
「ヤフーニュースのコメントを読むと、『納税している風俗嬢なら助けてもらっていい』という意見も目にします。これは体感ですが、納税している風俗嬢は1割程度いるかどうかではないでしょうか」
Sさんは税金を納めているんですか? 失礼な質問を投げてみた。
「私は千葉県に移る前は、職業をマッサージにして自分で確定申告をしていました。今の職場では特殊浴場協会がまとめて加盟店の子の確定申告を手伝ってくれるんです。こういう取り組みは全国的に見ても珍しくて、もっと広がればいいと思います。
吉原の高級店の売れっ子さんは月に300万円稼ぐと思われます。相当稼いでいる子に関しては税理士を利用することもあるようですが、『風俗嬢だと足元を見られて高額になる』という話もあるので、ぜひとも税理士さんの業界は『そんなことないよ』と言ってほしいところです。
私は納税していますし、補償は欲しいですよ。ただ、先ほどから言っているように、国から保護が受けられない立場だと肚を据えて生きていかなければいけないとも思っています。
今回のことで注目が集まっていることですし、セックスワーカーの権利が早く確立されたら良いと思います」
●切羽詰まっているなら、いっそ風俗嬢を辞めてもいい
清濁併せ吞む世界で生きてきたSさん。優しい言葉だけでなく、厳しい言葉も口にする。
「同業の子たちを助けてと思うのは本心です。しかし、残酷ですが、今回のことで風俗嬢と風俗店には大きな淘汰が起きます。稼げず潰れてしまう子は昼職に戻ったほうが平和に暮らせると思います。
その子が風俗に必要とされていないと言いたいのではありません。違う道を誰かが教えてあげてほしいんです。
こんな状況でも休めず、低いお給料で過激なことをやらされて壊れる子が増加している。それが加速するのは目に見えています。『稼げる業界』。風俗がそう言われていた時代は何年も前のことです。
発達障害やメンタルの問題で風俗に流れてきた人たちが、それでも生きていける環境を作ってほしい。ここで国の助けが一番必要となります」
●性風俗の役割
東日本大震災の前後で、風俗に来る客が求めるものが大きく変わったという。
「震災前は老いも若きもただただ欲を満たすために来ていました。震災後はハグや添い寝、メンタルケアを求めて来る人が増えました。
私は今、60分1万円代の大衆店で働いています。90分4万円の中級店で働いていたときよりも、大衆店のほうが癒されにくる人が多いです」
彼女の長年の体験から、今の性風俗の「役割」というものが浮かんできた。
「定期的に来てくれる私のお客さんには、医療従事者や介護施設で働くかたがいます。みなさん、今大変です。1カ月で休みが1~2日しかありません。仕事明けの夜に来てくれます。『すごい世の中になっちゃったね』とは話すものの、会話はほとんど普段通り。店が閉まれば、風俗を好きでいてくれた人はさびしくなると思いますよ」
「離婚は増えると思うんです。私たちのところに来ているから、離婚せずに済んでいる家がたくさんある。家で居場所がなくて、こき使われて、奥さんとも夫婦としてもはや成立していないむなしさを、私たちで満たしている男性がたくさんいます」
「世の中の奥様たちから怒られてしまうかもしれませんが。。」とバツの悪そうな表情を浮かべたが、すぐ真剣な顔に戻って「風俗はもはや性欲処理場じゃないんです。心の穴を埋めるための施設です。居酒屋に行けなくなるのも同じことです」と話した。
「風俗業は稼げる仕事じゃありません。今はマッチングアプリもあって、既婚男性が独身と偽って素人の女の子と安く遊べます。相対的に『女を武器にする』風俗の価値が下がっているようにも思えます。
ただ、風俗嬢の前では何一つ嘘をつかなくてもいい。素の自分を解放して、受け入れてくれる。それが風俗の最大の価値ではないでしょうか。ランキングでナンバーワンになる子は派手な美人ではなく、ほんわかした癒し系の人が多いんです。お客さんのニーズは安心感です」
●コロナ後の風俗はどうなっている
Sさんは過去に海外留学で1年間、仕事を離れたことがある。それでも、戻ると客が「おかえり」と言って会いに来たそうだ。だから、今回休んでも大丈夫だと考えている。
「海外の生活で太るわ運動不足だわで、仕事復帰したときは上手に動けなくて、1週間は太ももが筋肉痛でした。将棋やピアノと同じで、離れると技を忘れちゃうんです。
今回はそんなことがないように、自宅でも変わらない暮らしを送って、スクワットをして過ごします。人を癒すプロフェッショナルですから」
さて、どの業種を新型コロナ補償の対象にしようかーー。国や自治体がそれを決めたときに「性風俗の役割」について思いを馳せてくれる人はいなかったのだろう。新型コロナの前後で生活は大きく変わることを誰もが感じている。風俗に対する目線も変わるのだろうか。


【コロナ禍】現役デリヘル嬢が語る「コロナ非常事態」に風俗に行くやつの素顔












デリヘル嬢(イメージ画像)
 新型コロナウイルスの流行は、とどまるところを知らない。かつて筆者は事態が現在ほど深刻ではなかった3月13日時点で、キャバクラや性風俗産業を媒介にした感染拡大の可能性についての記事を「文春オンライン」に書いたが、いまや本気でそれを心配しなくてはならない状況に陥りつつある。
 ***
 3月30日夜の記者会見で東京都の小池百合子知事は、「接待を伴う飲食店」に行くことの自粛を呼びかけた。4月1日には、新宿歌舞伎町のキャバクラや性風俗関係者ら、少なくとも十数人のウイルス感染が確認されたと報じられた。さらに4月4日には、岐阜県内でナイトクラブを訪れた医師3人の感染も伝えられた。
 たしかに、こうした“夜の産業”では、換気の悪い室内で、不特定多数を相手に、親密な会話や、それ以上の「濃厚接触」が行われる。しかも一般の飲食店やマッサージ店などと比較しても、不健康な生活習慣の人が利用する割合がより高いと思われる。
デリヘル嬢(イメージ画像)
 特に性風俗店については、サービス内容の過激さゆえにリスクは高いだろう。事実、コロナの脅威が囁かれはじめた2月以降、性風俗店は他の産業に先駆けて閑古鳥が鳴き出したという。
 ……だが、それゆえに気になることもある。現在の非常事態のなかでもなお、あえて性風俗店に行く猛者は、果たしてどんな人物なのか、という疑問だ。

池袋の人妻デリヘル嬢、語る

 沖縄在住シンママの現役キャバ嬢ライター・上原由佳子氏(Twitter:@yukakouehary)の紹介で取材に応じてもらったのが、池袋の某人妻系デリヘルに勤務している、ことみさん(仮名31歳)である。セックスワーカーとしてはキャリア8年目のベテランだ。
仕事道具のローションをカバンから取り出したことみさん。手がきれいである。(撮影・安田峰俊)
 本人の話によれば、彼女は大学卒業を控えた年に東日本大震災による就職難に巻き込まれ、新卒での就職に失敗。やがて非正規雇用を経て正社員になったものの、職場がブラック企業でメンタルを壊して退職し、夜の仕事に就いた。武器はFカップのバストで、現在の仕事については、なんと2歳年上の夫も公認である。
 以下、ことみさんへのインタビュー形式で、池袋の人妻デリヘル嬢の目から見たコロナ・パニックについて語ってもらうことにしよう。
「カード男」がことみさんにプレゼントした自己紹介カード。しんどいものがある。(撮影・安田峰俊)
――まず、コロナ流行前後の売上の変化について教えてください。
ことみ:うちの店は最短で40分10000円からコースがあるんですが、コロナ流行以前は70~90分くらいのコースを選ぶお客さんが多くて、120分という人もちらほらいました。
 私、事情があって、限られた日数しか働けないんですが、月に10日間の出勤で、1日あたり2~3人のお客さんがつく。なので、たとえば昨年11月時点の月収は25万円くらいでした。待機時間も含めて換算して、時給で約3900円くらいでしたね。

「守るべきもの」がある客は来なくなった

――なるほど。コロナ流行後は。
ことみ:悲惨ですよ。祝日ですら、お茶をひく(1人も客が来ない)日が出ていますし、お客さんが1人だけという日も多い。3月は時給換算で約2400円まで下がりました。4月はもっとひどいはずです。コロナ減収者向けの緊急小口貸付の申請を検討しているのですが、通るかなあ……。
――お客が減った以外の違いはありますか?
ことみ:奥さんや子どもがいて、安定した普通の会社で働いていて、それでもたまに遊びたい、みたいな“ちゃんとしたタイプ”の人が、コロナ流行後は一切来なくなりました。まともにコミュニケーションが取れる場合が多いので、私の基準ではこういう人は“良い客”なんです。遊び方もきれいで、禁止事項や乱暴なこともしないことが多いですし。
――じゃあ、コロナ流行後は客層が悪くなったのでは?
ことみ:確実に悪くなりました。失うものがない感じの人が増えたんです。で、“ガッつき系”が増えました。ショート40分で会話も全然しないで、「カネ払ってるんだから」と焦って、あれもこれも要求する的な。
――働く側は、体力的にも精神的にもすり減りそうですね……。
ことみ:お客さんの年齢層も変わりましたね。コロナ以前は、年上の女性が好きな若い男の子から70代のおじいちゃんまで幅広かったんですが、いま、あえて来る人は、ほぼ40代。独身かバツイチです。

女児向け自己紹介カードを贈る電車男

――コロナ流行後に来店した、いちばんヤバい客について教えてください。
ことみ:去年の9月から指名で月1回入っていた人なんですが、コロナ流行後の2月半ばにも指名してくれました。そのとき、なぜか20年前くらいに流行っていたような小学生女児向けの自己紹介カードを「次回これ書いてきてね」って渡してきました。
――うわあ……。あえて彼の心の内を想像すれば、異性と接した体験が小学生で止まっていて、その当時にウケていたものをプレゼントすれば喜ばれると思ったのかもしれませんね。
ことみ:ですね。性風俗店のキャストに本気で恋愛感情を持つ、“ガチ恋系”だったのは確かです。女児向け自己紹介カード以外のプレゼントとしては、「一緒にポケモンやろう」って言って『ポケットモンスター ソード』をくれました。とりあえず、家で旦那とプレイしているんですが。
――“ガチ恋”相手の夫へのプレゼントになってるじゃないですか。ちなみに、彼は性格や外見的には、どういう人だったんですか?
ことみ:30代後半で、なぜか上顎の前歯がなかったです。仕事は工場勤務だって言っていたかな。秋葉原によく行くらしく、音ゲーでハイスコア出したとか言って、動画を見せてくれました。
――『電車男』みたいなステレオタイプなアキバ系が、令和の時代にまだ生息していた。
ことみ:はい。めちゃくちゃ早口で、ポケモンとか音ゲーとか、自分の喋りたい話題だけをワーッと喋る人でした。コミュニケーションを取るのに、ちょっと忍耐力が必要になるというか。

森三中の濃厚接触者を接客

――まあ、個性的でこだわりの強いお客さんだからこそ、コロナ蔓延下でも来てくれるわけですね。
ことみ:そうなんですよね。「カード男」は私の前にも他の店でお気に入りのキャストがいたみたいなんですが、出禁(出入り禁止)を食らったそうなんですよ。で、そのことを「あいつとは“別れた”」って言っていて。うーん、となりました。
 ちなみに私は、3月になってから事情あって他の店に移って源氏名も変えたので、この人とはそれっきりになりました。
――他にコロナ流行後に出会ったヤバいお客は?
ことみ:4月上旬に「俺、テレビ出たんだ」って写真見せてくださったお客さんがいたんです。それが、森三中のメンバーの1人と写した写真で。数日後に、森三中の黒沢(かずこ)さんのコロナ陽性ニュースを聞いて驚きました。
――それは冗談抜きで危ない話では……。
ことみ:はい。ただ、よく思い出してみると、たしか写真を撮ったのは2月末だとおっしゃっていたので、このお客さんはセーフだとは思うんです。もっとも、この件に限らず、私たちが知らない間に濃厚接触者になっている可能性はありますよね。
 お店のほうも、ホームページでは「コロナ対策をしています」とか書いていますが、実際は手洗い用の消毒液を置いていれば“まだしも良心的”という程度ですし。対策はほぼゼロですから。
――コロナ以来、お客さんが相当減っているみたいですが、つなぎとめる作戦は考えていますか?
ことみ:「この人は絶対に無理だ」と思う相手でも、ちゃんと名刺を渡すようになりましたね。ちょっとでも指名を増やさないと死活問題なので……。正直、最近は基準をかなり下げていて、相当ヤバいお客さんでも指名してくれるならOKだと思いはじめています。

愛国ブルマおじさんの恐怖

――「カード男」や「森三中男」よりヤバい人でも、営業をかけるわけですか。
ことみ:たとえば、スーツの下にパンツがわりにブルマを着用している60歳前後のおじさんが来たんですよ。で、自分が持参した別のブルマを私に履けと。しかも新品じゃなくて、なんだか布地に使用感があるんです。
――これは、想像以上のパワー系ファイターが来ましたね……。
ことみ:他にも気持ちの悪いことがいろいろあって、もう次回は絶対NGだと思ったんです。しかも、おじさんはなぜか右翼? なんですよ。部屋でテレビのニュースを見ながら「日本はもう1回、戦争をしたほうがいい」と演説を始めて。
――60歳愛国ブルマおじさん。希望は、戦争。
ことみ:でも、現在の状況だと、こういうおじさんでも営業をかけるしかないですね。指名をもらうために、バンバンかけると思います。

「緊急事態宣言」後も営業は継続中

 4月7日には緊急事態宣言が出され、コロナ問題をめぐる情勢はいっそう緊張の度合いを増しつつある。現在、居酒屋なども含めたさまざまな店舗や施設が自粛要請を受けつつあるだが、実店舗を持たないことみさんのデリヘルは営業を継続中だ。
 政府は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で一定の減収になった世帯に対して、現金30万円を給付する方針を発表している。ただ、支給要件の問題もあり、実態としてどのくらい有効性のある支援になり得るかは不透明だ。
“夜の産業”で働く人のなかには、通常の仕事(昼職)に馴染めなかったり経済的な問題を抱えていたりして、その道を選ばざるを得ない社会的弱者も多い。コロナの経済被害は、特に弱者にしわ寄せが及びやすい。
 一刻も早く、現在のウイルス禍が落ち着きを迎えることを望みたい。
安田峰俊
1982年、滋賀県生まれ。広島大学大学院文学研究科修士課程修了(専攻は中国近現代史)。中国問題をメインテーマに硬軟とりまぜた執筆活動をおこなっている。多摩大学経営情報学部非常勤講師を経て、現在は立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)が第五回城山三郎賞、第50回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。近著に『移民 棄民 遺民』(角川文庫)、『性と欲望の中国』(文春新書)、『もっとさいはての中国』(小学館新書)。
週刊新潮WEB取材班編集
2020年4月11日 掲載


旧山梨医大HPが風俗サイトに 「なぜか分からない」












 2002年に山梨大と統合した山梨医科大ホームページが今春までに、出会い系アプリや風俗情報などを紹介するサイトになっていたことが分かった。

 ウェブサイトのURLが「.jp」になる全てのドメインを管理する日本レジストリサービスも5日、事態を把握し、サイトの内容が表示されないよう措置した。

 このドメインは「yamanashi-med.ac.jp」。末尾が「ac.jp」のドメイン名は、高等教育機関と学校法人のみに使用が許されている。登録者を変更する場合も、有資格者かどうかをチェックする決まりだ。しかし、ドメインの登録者は昨年12月以降、都内の20代男性になっていた。

 米非営利団体の記録サイトで確認すると、統合直前の02年9月までは「山梨医科大学」のサイトと明示され、その後しばらくも「山梨大学医学部」「統合に伴い新サイトに移行」と書かれていた。

 ドメイン情報を管理する日本レジストリサービスは「ac.jpの登録者になれない人物に登録されていた。不適切と判断し、内容が表示できないようにした」と話した。

 登録者の男性は「偶然使われていないドメインを見つけ、ドメインの申請代行業者を通じて登録した。広告で収入を得るためサイトを運営していた」と話した。山梨大は「なぜこうなったのか分からない」としている。
 ドメインは、ウェブサイトのURLの「○○○.jp」などに当たる部分。(長野剛)

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